■ オーディオ雑感 ■
原音再生をめざしてオーディオに大枚を投じる人がいますが、
クラシック・コンサートの音をオーディオで再現するには、オーディオ装置もさることながら、
コンサート会場に近い響きを再現する空間が必要となり、現実的とは思えません。
本物のクラシック音楽を聴くときはコンサート会場に脚を運び、
Jazzライブを聴くときは、ライブ・ハウスでどっぷり音に浸かるほうが良いと思います。
ただし、1950年代のJazzライブや、クラシック演奏を聴こうとすれば、
タイムマシンが無いので、当時の音源を再生するしかありません。
できるだけ録音状態の良い音源を、そこそこのオーディオ装置で、そこそこの響きのある部屋で
自分の好きなときに聴きたい、、、できることなら本物に近づけたい、、、これが私の希望です。
私が初めて音楽再生機器を買ったのは1970年の冬、福寿司のバイトで貯めた
SONYのカセット・テレコで、音源はBeatles の Oldies でした。
高校生らしく、リンガフォンで英会話を独習する!という目的もありました。
大阪万博のイギリス館に17回足を運び、レスリー・ナップ嬢(コンパニオン)を相手に、
自分の英語がどれくらい通じるかトライしてみましたが、、、
「議会で文書を読み上げてるような英語ね〜(笑)」と指摘されたことを覚えています。
イギリス館入り口のBGMはいつも 〜Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band〜
低音を目一杯誇張した音響でした。
オーディオと呼べるモノは、当時兄が買った日立のHS-500とプリメインアンプが始まりです。
その頃の兄は業務用アンプの技術者で、買ったアンプが謳い文句と違う!と日立に手紙を、、、
担当技術の方が何度か兄を訪ねて来られてました。
どちらかと言えば低価格のアンプ一台のために、わざわざ大阪まで出張して来られる、、、
日立製作所の姿勢に感心したものです。
私はやがて高校を卒業、就職し、兄が出た実家のハナレで極楽とんぼ生活に入りました。
その(1974年)頃はオーディオ機器を買ったり、身内で交換したりしていましたが、
実際に使ったオーディオ機器は数少なく、オーディオ雑誌等で名機と称されているモノも、
実機をじっくり見たり聴いたりしたモノはごく僅かでした。
SONYのレコードプレイヤー、TEACのオープンリールデッキ、パイオニアのC-21にM-25を買い、
同じ町内で同じ年の従兄弟が買ったNS-690U(ヤマハ)、兄のHS-500(日立)、
従兄弟から譲り受けたBL-20D(コ−ラル)などSPを繋ぎ替え、いろんな音楽を試聴しました。
カートリッジはGrace、EmpireなどMMばかりを買い漁り
巨大な木製ターンテーブルに、木製トーンアーム等へとエスカレートして行きました。
音源はレコードが主体で、ロック等はFM放送をオープンリールに録音して聴いてました。
Momma Miss America(Paul McCartney)は、「ビート・オン・プラザ」(FM大阪)のテーマ曲で、
テーマ曲に続いて、その日に流れる曲の説明があり、曲の先頭から最後まで、キッチリ放送されて、
音楽の邪魔になるお喋りは一切無し、、、という良心的な、エアーチェック用の放送でした。
当時の大阪・日本橋はオーディオ街で、たいていの店に試聴室があり、
JBL4343やALTEC A7などに混じってTechnicsのSB-9500がデモ展示されていることも有りました。
その頃、友人と京都へ行った時に、(店は覚えてません)ALTECで聴いたトランペットが強烈でした。
エンクロージャの真ん中に小ホーン(3000H?)+ドライバーを吊り下げた形で、
ALTEC A4のモノラル再生だった様な、、、
ALTEC をまともに聴いたのはこの時が初めてでした。
やがて仕事が多忙になり、結婚して子供達も生まれ、8回引っ越しを繰り返すうちに、
何をどこに仕舞ったかも分からないくらい、オーディオとは無縁になりました。
BL-20Dのサブコーンをクチャクチャ噛んで粗大ゴミにした娘も大学を出て就職したある日、
阪神百貨店5Fのオーディオファイル(当時)でALTEC 620Aを衝動買いしました。
物置きからアンプ類を引っ張りだし、娘のCDデッキを借りて接続してみると、、、
M-25が死んでる(後でプロテクトが外れてないだけと判明)状態でした。
最寄りのコジマ電気へ急行し、展示品のPMA-1500AE(DENON)を即買いしました。
一応CDが聴ける状態になりましたが、久しぶりにしても音がイマイチなのは判りました。
オーディオ熱が完全に再燃したのはこの時でした。
レコードに戻る気もないし、ネットでCDデッキを調べてると、「HDDトランスポート」?
40年コンピュータに携わった人間として、、、
ハードウェアを介さずデジタル処理する手法に惹かれるモノが有りました。
いや、、、物理的に動くCDには限界がある、、、と
音楽再生(オーディオ)に関する私の基本的な考え方は、、、
※デジタル入力系は最新のコンピュータ技術を盛り込んだ機器を使う!
※アナログ出力系はオーディオ全盛期にメーカーが威信をかけて創った機器を使う!
という和洋折衷ならぬ、新旧折衷=デジタル・アナログ折衷です。
それにしてもPMA-1500AEがドンシャリ気味で、M-25を早く直したくなり、、、
ヤフオクでM-25の配線図を入手し、実機をバラしてExcelで配線図をトレースし直し、
電解コンデンサーを総取っ替えして半田をほとんど盛り直した後、、、
拙宅まで兄に遊びに来てもらい、M-25を点検してもらうと、、、
「コレ〜配線図を見る限りでは動くハズやな〜」、、、
何事も無く、綺麗な音が出ることに、、、
「プロテクトかかってたダケやろ〜」、、、
低域から高域までバランスの取れた音が620Aから流れてきました。
数日後、殆ど新品のPMA-1500AEはヤフオクで新しいオーナーの元へ行きました。
数日かけてネットでいろいろ調べた後、HDDトランスポートの手始めとして、
PCにSE-90PCI(ONKYO)を刺してアナログRCAでアンプへ出力することに、、、
PCオーディオ(HDDトランスポート)の履歴は概ね以下のとおりです。
<1番目>
ソフトウェア
Windows_XP→ASIO4ALL→lilith/Frieve Audioなど
ASIO4ALLはASIO未対応機を擬似的にASIO対応にするドライバーソフトです。
lilithは優しい音が魅力の音楽プレイヤーソフトです。
Frieve Audioはデジタルマルチ出力(有料版)も可能な多機能音楽プレイヤーソフトです。
ハードウェア
EPSON 32bitデスクトップPC→SE-90PCI(ONKYO)→<アナログRCA>→
C-21(Pioneer)→M-25(Pioneer)→HS-500(日立)/620A(ALTEC)
SE-90PCIは24bit/192Khzの音声データをアナログ出力できるサウンドボードです。
C-21は機能を絞って音質に拘ったプリアンプです。
M-25は強力な電源を持つA級3W、AB級120WのTrパワーアンプです。
この構成での視聴感
そこそこのCDデッキ並みの音に聞こえました。
<2番目>
ソフトウェア
Windows_XP→ASIO for All→lilith/Frieve Audioなど
ハードウェア
東芝32bit PC→SE-200PCI(ONKYO)→<光デジタル>→AT-HDSL1(AudioTechnica)→
<同軸>→エミスケDAC→C-21→M-25→HS-500/620A
SE-200PCIは24bit/192Khzの音声データを光デジタル出力できるサウンドボードです。
AT-HDSL1は光デジタルと同軸デジタルを変換するアダプターです。
SE-200PCIが光デジタル出力、エミスケDACが同軸デジタル入力のため変換が必要でした。
エミスケDACを発注する際に、光デジタル入力を希望すれば、対応して頂けると思います。
エミスケDACは、旭化成のDACチップを使ったエミスケさん(個人)製作の優秀なDACです。
この構成での視聴感
SE-200PCI→<アナログRCA>→C-21 の直接接続も試しましたが、
上記のデジタル出力→エミスケDAC を通した音は輪郭がハッキリし、透明感も増す感じです。
<3番目>
ソフトウェア
Windows7→ASIO→BugHead_IB(Nomal)、
Windows7→ASIO無関係のWave File Player_exp(24bit/192Khz)
ハードウェア
64bitノートPC(富士通)→ES-OT4(USBノイズフィルタ)→HiFaceTwo(USB-DDC)→
<同軸>→エミスケDAC→SL-1FB(Marantz アッテネータ)→
M-25(Pioneer)/KT88管球シングルアンプ→MC-S0(ORBセレクター)→
MC-S0(ORBセレクター)→HS-500/620A
BugHead_IB(Infinity Blade)は横田宏幸さんが開発されている音楽再生ソフトです。
ASIO、WASAPIに対応し、32bit/384Khzにアップサンプリング可能です。
よりリアルな再生音を得るために、より高性能なWindowsPCを要求する仕様です。
(横田さん)「結果から行動しませんと」、、理論で固まらず、結果から理論形成するスタイルです。
横田さんとは誕生日メッセージを交換するほどに親交いただいており、
年に数回BugHead最新版の試聴レポートもお送りしています。
WFP(Wave File Player)4_expは、和田ラボさんの音楽再生ソフトです。
Reg4Ex.exe(WFP4_Expの環境設定ユティリティ)を使って、レジストリの環境変数を書き換えると、
24bit/192Khzにアップサンプリング可能となります。(「封印を解く」と説明されています)
ASIOもWASAPIも使わず、IOCSレベルでストレートに音楽信号を処理します。
プロの録音現場で使われるなど、Windows版のレファレンス的なプレイヤーソフトです。
BugHead_IB も WFP(Wave File Player)4_exp も、音源を一旦CPUメモリーに読み込み、
CPUメモリー内部でアップサンプリングと音楽再生を完結するスタイルです。
再生が始まる前に、CPUメモリーに取り込む時間が少しかかります。
WFP4_exp は完全無欠のモニターサウンド、
BugHead_IB はモニターサウンド+ウキウキ感、
2016年04月現在、Windows版では、この二つのソフトが飛び抜けていると思います。
Jazzライブは「生」に近く低音の量感(SPと部屋の問題です)が増えれば「本生」になります。
HiFaceTwoはUSB2.0に対応したDDCで、PCの影響を受けない高精度クロックを自ら生成します。
HiFaceTwoを挟むことでSNが改善でき、低音が引き締まって音の分離も良くなりました。
ES-OT4(USBノイズフィルタ)は3000円の雑誌の付録ですが、DDCの効果が倍加されました。
USBノイズフィルタの効果から、電源の重要性を再確認することとなりました。
部品取り用のM-25が2台、M-22が1台と、、、巨大な電源回路が押入れで眠ってますので、
これらを流用し、デジタル機器用に直流安定化電源を複数台造りたいと考えています。
「可聴範囲とかけ離れた周波数のノイズが試聴感に影響するハズ無い」と言う人もいますが、、、
電子回路も元を正せば電気回路ですし、音楽を再生する電気回路にノイズが混入すれば、
耳では感じなくても、脳が拒絶反応をおこし廻り回って「音が悪い」と感じるかも知れません。
生物の仕組みは、簡単に理解できるほど単純ではありませんし、
科学が進歩すればするほど、新たな発見が有り、
なぜそうなるのか解らない事象が次から次へと出てきます。
「我々は未だまだ何も分かっていない」、、、これが私の考え方の原点です。
ただし、評論家がベタ褒めする(驚くほど高額な)SPケーブルなどには、疑問を感じています。
私にとって「良いモノ」とは、高性能で、かつ、常識的な価格のモノです。
ということで、、、
SPケーブルはBelden9497(通称「海蛇」)を使っています。
アナログRCAケーブルはAudioTechnicaの5000円/mくらいのモノを使っています。
USBケーブルはElecomの普及品を使っています。
同軸デジタル・ケーブルは何だったか忘れました。
私も「ケーブルの違いで音が変わる」とは思いますが、残念ながら実感したことがなく、
気休めで、そこそこのモノを使っているに過ぎません。
SL-1FB(Marantz)はL/R独立の33接点アッテネータで、4入力、2出力の切り替えができ、
パッシブ・プリアンプ(電気的な増幅回路の無いプリアンプ)などとも呼ばれます。
PCに刺したSE-200PCIのアナログRCA端子からSL-1FBに出し、
USB経由のエミスケDACからもSL-1FBに出し、
SL-1FBから2種類のパワーアンプに出し、
それぞれのパワーアンプからORBの切替器に、ORBの切替器から3種類のSPに出す、、、
以前そういう比較試聴を繰り返していました。
SL-1FBは単なる減衰器(ボリューム)なので、プリアンプのような色付けは感じません。
SL-1FBをC-21に戻すと、音像が不鮮明に感じたので、C-21は押入れに仕舞いました。
SL-1FBで唯一の不満は、特定の減衰位置で時々ノイズが入ることです。
(パッシブ・プリアンプ特有の)インピーダンス・マッチングできない弊害?
固定抵抗の一部が接触不良を起こしているだけ?
単純な回路なので、調べれば済むことなのに、何故か買ってから一度も点検してません。
KT88管球シングルアンプは、25年ほど前の個人製作物をヤフオクで落札したものです。
使われているパーツも良いモノばかりで、頭のハゲかけたKT88は貴重なGoldLionでした。
回路図や実体配線図が著名な本にも出ているオーソドックスなアンプで、
L/Rボリュームをバイパスし、電解コンデンサ類を全て新品に交換しました。
と言っても、管球アンプは回路がシンプルで部品点数も少なく、比較的簡単に整備できます。
弱ったGoldLionは保管して、東京真空管商会で買ったSovtekのペアに交換しました。
余談ですが、、、
管球アンプは「温かみがあり、ふっくらと包み込む様な音がする」と言う人が時々いますが、
それは実際に使ったことがない人の思い込みだと思います。
温かい包み込む様な音がするなら、それは「そのように」色付けされているせいで、
それが好きな人は、そう言うアンプを使えば良いのです。趣味の世界ですから、、、
私は音源に収録された音楽を、オーディオ装置で勝手に色付けするのは嫌いです。
管球シングルアンプは、音源をストレートに再生する理想的な装置だと思います。
人の声、ピアノの響き、コントラバスの胴鳴り、和太鼓の連打、、、
録音が良ければ、SPをちゃんとドライブして、本物そっくりに再生してくれます。
繰り返しますが、「温かい」「ふっくら」した感じなど微塵もありません。
その場に漂うような空気感、ウキウキする感じなどは、また別のモノです。
そういう感じの音を出す優れた装置はありますが、それはアンプではなく、SP(スピーカー)です。
ALTEC A7 やA5でJAZZライブ音源を聴くと、乗りに乗ったライブの雰囲気に没頭できます。
<4番目>(BugHead_IB/WFP_expに及ばず)
ソフトウェア
lubuntu→ALSA→Audacious
ハードウェア
東芝32bitノートPC→USBノイズフィルタ→USB-DDC→同軸→エミスケDAC→
アッテネータ→管球シングルアンプ→HS-500(日立)/ALTEC620A
lubuntuはLinux(OS)の一種で、必要最低限の機能に絞ったカーネルの軽さで選びました。
ALSAはLinuxの標準的な音声処理デーモンです。
Audaciousはlubuntuに標準搭載されている音楽再生ソフトです。
ライブ音量でJazzを聴くと(3番目に比べ)ベースが引っ込み気味で、音階も不明瞭です。
ネットで調べながらlubuntuをダウンロード〜セットアップした最初の状態ですので、
何かを調整すれば、ひょっとして劇的に変わったりするかも知れません。
<5番目>(Linux版メモリー内再生で、Windows版BugHead_IB/WFP_expを越えたい!)
ソフトウェア
LightMPD→???
LightMPDはMPD(Music Player Daemon)を動作させることに特化したLinuxの一種です。
・インストールから設定に至るまでの全ての過程をWindowsPCで行うことができる。
・システム全体が30MBにも満たない超軽量である。
・システムが起動した後はすべてメモリ上で動作する。
ということで、使ってないWindowsXPノートPCを初期化して、LightMPDをインストール、、、